ぞくぞくと各資格試験・検定試験で導入がすすむ「CBT方式」。
実際にはこれまでの筆記試験(PBT・Paper Based Testing方式)とどのような違いがあるのでしょうか?
実は良いところばかり注目されるのですが、大きなデメリットも…。
CBT方式の試験に対して、どのような対策をしていかなければならないのでしょうか?
CBT方式の特徴をとらえて有利に、そしてより簡単に合格をめざしたいですね。
詳しく解説していきます。
CBT方式とは
まずはCBT方式について少しだけ。
CBT方式とは「CBT(Computer Based Testing)」の略称で、コンピュータを使った試験方式の1つです。全国に300会場以上あるテストセンターと呼ばれる試験会場で受験するのが一般的です。1年間を通じて好きな場所で受験が出来ます。
これまで資格試験といえば年1〜3回しかチャンスがなく、予定との兼ね合いで受験できないこともありました。資格試験をたくさん受けるひとは、ちょうど6月と11月に実施されることが多いので、同じ時期に複数の試験に対する勉強をするなんてことも…。
また、資格によって試験日が固定という場合もあります。
CBT方式の試験が増えたことで、資格取得のチャンスは格段に増えていると言えます。
CBT方式のメリット・デメリットについてはこちらから↓
CBT方式を導入している資格試験
現在、CBT方式を導入している資格の一部を紹介します。
CBT方式はその性質上、選択式で正解が明確な試験でなければ導入できません。面接や自由記述試験がある場合、導入できなかったり、一部の階級のみ、一つの資格のなかで一部試験にのみ導入ということもあります。詳しく確認をお願いします。
分類 | 主な資格試験 |
国家資格 | 基本情報技術者、ITパスポート、電気工事士 等 |
公的資格 | 日商簿記、FP、秘書検定、英検、漢検 等 |
民間資格 | MOS、カラーコーディネーター、TOEIC 等 |
CBT方式を導入している試験には、国家資格も!こちらから↓
筆記試験とCBT方式の一番大きな違いは「出題方法」
CBT方式の最大の特徴は、パソコンを用いた試験実施方法だと思われがちですが、わたしはそうではないと思っています。一番大きな特徴は…
試験問題の出し方です!
まずは筆記とCBT、それぞれの出題方法をご説明します。
筆記試験の出題方法
資格試験には、出題範囲があります。
出題範囲の中には、出題分野、さらにその中に出題分類というのものがあります。(資格によって名称がことなる場合があります。)
各分野・各分類のなかで何問出題するかが決まっており(試験によっては若干の増減があるものも。)、出題側はその中でどの問題を出すかを決定していきます。
筆記試験では、同一試験日の問題は、全員同じものが配布されます。
出題側は、以前に出題した問題の類似問題や新しい問題、易しい問題から難しい問題などを織り交ぜて、理想の難易度となるよう入念に試験問題をつくるわけです。
CBT方式の出題方法
CBT方式も、筆記試験同様に出題範囲・分野・分類があり、それぞれに出題数が決まっています。
しかしCBT方式では、同じ試験日に受験しても、ひとりひとり異なる問題が出題されるのです。
どのような仕組みなのでしょうか?
まず一定の期間(試験日が固定の場合はその1日)の試験に対して、本来3問出題する分類の問題を、例えば10問用意します。
そしてコンピュータによって各受験者に対して、10問の中からランダムに3問を出題するのです。
これによって、真横で受験しているもの同士で異なる問題が出題されるようになっています。
出題方法から考察するCBT方式のデメリット
出題方法が全くちがうふたつの試験方式。
では、受験者にとってCBT方式はどのような欠点があるのかを説明します。
デメリット① 出題傾向をつかみづらい
筆記試験では、どのような問題がだされるかを予想することがある程度容易です。
出題側からすれば、試験の合格者には必ず解くことが出来てほしい問題というものがあります。特に、資格を取得することで何かを許可される試験ならなおのことです。(たとえば運転免許を取得することで公道で運転することができるといったもの。)そのような問題は頻出ということになります。
他には、直近数回の試験で連続して出題されている問題は、これからの時代に必要な知識の確認です。特に重点的に対策すべき問題となるわけです。
ところが、CBT方式ではこれが必ずというわけではなくなります。
もうこれは運なのですが、対策していた頻出問題があまり出題されない可能性があります。
たまたま何年も前に1度2度しか出題されなかった問題や、全くの新しい問題を多く引き当ててしまうなんてことも…。
「今期はこんな問題が出題されそうだ!」と絞り込むことが難しいのです。
デメリット② 難易度に違いがでる
もうひとつの欠点は、難易度に違いがでることがあるということ。
本来、資格試験は受験者に対して公平に評価するために難易度は均一にする必要があります。筆記試験では、同一問題が出題されるわけですから、少なくとも同じ日に受験したひとの間に差はうまれません。
しかしCBT方式は違います。
もちろん、ランダムに出題されるといってもある程度難易度が均一になるような仕組みがされているのですが、全く同じ問題ではないのですから差はうまれます。
逆にいえば、他の人より比較的易しい問題が多く出題される可能性もあるといえます。
これはもう「運」にかけるしかないものです。
CBT方式試験に対する対策・勉強方法
では、CBT方式への対策としてどのような準備・勉強をするとよいのでしょうか。
CBT対策① 難しい問題を捨てるのではなく、出題分類を捨てる
まず、難しい問題を捨てるのではなく、難しい分類を捨てるということです。
資格試験の対策として有効な手段として「易しい問題を確実に解けるようにし、難しい問題は思い切って捨てる」というものがあります。
資格試験での合格とは「正答率⚪︎⚪︎%以上」というラインで決定されます。
言い換えれば、「△△%までは間違えてもよい」ということです。
だからこそ、思い切って難しい問題を捨てるのですが…。
CBT方式だと、捨てた難しい問題が複数出題されてしまう可能性があります。こうなると、お手上げです。
そこで、「難しい分類ごと捨てる」というのが有効手段となります。
出題数には分類ごとに偏りがあります。出題数が少ない分類はそれごと捨ててしまえば、その中でどんな問題がでようと関係ありません。代わりに、出題数の多い分類は難しい問題にも対応できるようにすることで、確実に正答率をあげることができるのです。
CBT対策② 「後で確認する」を最大限利用する
CBT方式では、解けない問題や、少し解答に不安のある問題に印をつける機能があります。
これはCBT方式の大きな利点のひとつですが、これを最大限に利用することに慣れておくのが有効な対策です。
CBT方式を導入できる試験は、択一問題形式です。これは筆記試験で実施する際にマークシート方式をとっている試験ということです。
マークシートでは、解けない問題や少し解答に不安のある問題をあらかじめ黒く塗りつぶしておくことはしないはずです。これは、塗りつぶす・塗り直すのにある程度時間がかかるから、そして塗り直す際に他の解答も消してしまう危険性があるからですね。
つまり、もしこのまま解答をとばして進めると、未解答となってしまう危険性があるということです。
さらに、解答用紙に未解答がココ!と印をつけるわけにはいきませんから、冊子となっている問題に印をつけるわけですが、その印を探すのにも時間がかかります。
しかし、CBT方式ではわからなくても解答をしておいて「後で確認する」にチェックを入れておけば、未解答となる危険をなくし、不安な問題を解答一覧からすぐに見つけ出し確認できるのです。
だだしこれはあくまで、CBT方式に慣れているひとができること。はじめてのCBT方式での受験で軽やかにこの動きができるとは限りません。
CBT方式の模擬試験をしっかり受けて(多くの場合、資格試験の公式HPで体験できます)、どう動けばよいのかをシミュレーションしておきましょう。
チート作戦 連続で何回も受験する
最後に余談ですが、CBT方式は年に1〜3回実施の筆記試験とちがい、短期間に何度でも受けられます。
一定の期間内で複数回受験すれば、同じ問題プールの中から出題されるわけですから、同じ問題にも遭遇することになります。つまり、受ければ受けるほど解ける問題が増え、相対的に正答率は高くなるわけです。
つまり、時間・体力・気力そしてお金があるのなら、合格するまで何度も受験するというチート技があるわけです。
実際に、ITパスポート受験に連続7回受験して合格したという猛者がいました…おすすめはしませんが!
まとめ
CBT方式と筆記試験の違い、対策をご紹介しました。
実は対策さえしっかりしていけば、問題は若干易しくなっているという噂もあるCBT方式はやはり有利です。
紹介した対策をぜひ実践して、合格を勝ち取ってください!
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